― 「売れるものを探す」より先に考えたいこと ―
「出店してみたい気持ちはある。でも、何を売るかが決まらない」
マルシェに出店を考えはじめたとき、最初にぶつかる壁がこれです。
ネットで調べると「マルシェで売れるもの」の情報はたくさん出てくる。
でも、「それが自分にできるかどうか」は別の話で、結局どうすればいいのかわからないまま、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「何を売るか」の決め方を、売れるかどうかより先に考えるべきことから整理します。
「売れるもの」より「続けられるもの」を先に考える

商品を選ぶとき、最初に「マルシェで人気のもの」を調べたくなる気持ちはわかります。
でも、人気があるジャンル=自分に向いているジャンルではありません。
続けられない商品は、売れても意味がない。
作るのが苦痛、在庫管理が大変、出店のたびに消耗する——そういう状態になると、どんなに売れても長続きしません。マルシェ出店を楽しみながら続けるためには、「自分が作り続けられるもの」「自分が販売を続けられそうなもの」を出発点にすることが大切です。
自分の「得意」を棚卸しする3つの問い
商品を決める前に、次の3つを自分に問いかけてみてください。
① 継続的に作業できるか 人より少しでもスムーズにできることはなんですか?
季節や体調に関係なく、安定して続けられること。
「たまに作るのは好きだけど、毎週となると……」というものは要注意です。
② 人に喜ばれた経験があるか プレゼントして喜ばれた、友人においしいと言ってもらった、SNSで反応がよかった— そういった経験があるものは、販売に向いている可能性が高いです。
③ マルシェで形にできるか よりよい形で人に届けることができそうなことはなんですか?
“ 改善し続けることができること ”には、得意が隠れています。
マルシェに関しては、当日持ち運べる、その場でお渡しできる、その商品の良さを伝えられる。この3点を満たせるかも確認します。
マルシェで売れやすいジャンルの傾向
自分の得意が見えてきたら、ジャンルの傾向を参考情報として確認してみましょう。
食品・焼菓子系

- 回転が早く、当日完売しやすい
- リピーターがつきやすい
- 食品衛生法などの許可が必要(要確認)
- 向いている人: 料理・製菓が得意、コンスタントに作れる体制がある
- 正直なところ: 売れ残ったときのダメージが大きい。食品は廃棄になるため、仕入れ・製造数の読みが難しく、慣れるまでは在庫調整に悩む。
コーヒー・ドリンク系

- 「その場で飲める」という即時性が強みで、天候・季節に関係なく需要がある
- 回転が早く、単価×杯数で売上を積み上げやすい
- コーヒーは豆・ドリップパックの物販と組み合わせると、テイクアウト販売との相乗効果が出る
- 向いている人: バリスタ経験がある、コーヒーへの知識・こだわりがある、飲食店経験者
- 正直なところ: 設備の準備が他のジャンルより大がかりになりやすい。電源の確保・水の用意・抽出器具の搬入など、出店前に確認することが多い。また食品と同様、営業許可が必要なケースがあるので事前確認が必須。
ハンドメイド・雑貨系

- 単価設定の幅が広く、世界観で差別化しやすい
- 在庫を作り置きできるので、当日の準備が比較的安定する
- 向いている人: 作ること自体が好き、ブランドイメージを大切にしたい
- 正直なところ: 売れ残っても次回に持ち越せる分、在庫が増えすぎる問題が出やすい。また「手作り感」と「価格」のバランスが難しく、価値を伝えないと値引きを求められることも。
植物・花・野菜系

- 見た目のインパクトがあり、ディスプレイが映えやすい
- 季節性が強く、時期によって商品が変わる
- 向いている人: 農業・園芸をしている、季節に合わせた商品づくりが楽しめる
- 正直なところ: 植物・花は食品と同様、売れ残りのリスクがある。また重くてかさばるものが多く、搬入・搬出の負担が大きくなりやすい。
ただし、人気ジャンル=競合も多いということは念頭に置いておいてください。そして、人気=必ず儲かるということでもありません。人気があるから選ぶ、ではなく、自分の得意と重なるから選ぶ、という順番が大切です。
「自分の得意」×「マルシェで求められるもの」の掛け算
マルシェで売れやすい商品の共通点
ジャンルを問わず、マルシェで手に取ってもらいやすい商品には共通点があります。
- 手に取りやすい価格帯(その場で気軽に買える金額感)
- その場で渡せる(持ち帰りやすい・すぐ使える)
- 見た目で内容が伝わる(何かわからないものは手に取られにくい)
- 重くない・壊れにくい(お客様が持ち歩きやすい)
商品を考えるとき、「自分が作れるか」と同時に「お客様が持ち帰りやすいか」という視点を持っておくと、マルシェ向きの商品設計につながります。
小さく始めて、反応を見ながら絞り込む
最初から完成形の商品ラインナップを揃えようとしなくて大丈夫です。
まず数種類に絞って出店してみて、「どれが売れたか」「どれに興味を持ってもらえたか」という反応を見ながら少しずつ調整していく。その積み重ねが、自分のお店らしい商品構成になっていきます。
ぐらが焼菓子を選んだ理由と、最初に感じたこと
なぜ焼菓子だったのか

昔からお菓子づくりが好きで、焼菓子店開業も視野にいれていたので、
ぐらにとって他の選択肢はありませんでした。
「何を売るか迷う」という段階を経ずに、焼菓子屋になりました。
いざ出店してまわりのブースを見ると、「こんな選択肢もあったんだ」と思うことがとても多いです。ドライフラワー、陶器、アクセサリー、ドレッシング、アート……マルシェには本当に多様な出店者がいて、自分では思いつかなかった切り口で出店している方がたくさんいます。
「自分の得意が何かわからない」という方には、まずお客さんとしてマルシェをまわることをおすすめします。どんな商品が並んでいるか、どんな価格帯か、どんなブースが賑わっているかが肌感覚でわかってきます。
商品ラインナップの変化
基本的には今も最初の頃も、ベーシックでシンプルな焼菓子が中心です。店舗と共通して、軸はぶらさないようにしています。
ただ、マルシェに出店するときは、いつもの人気商品にプラスして少しだけいつもと違うものを用意するようにしています。「マルシェならでは」を意識して、ラッピングを変えたり、販売の仕方を変えたり。いつもの商品でも、マルシェの雰囲気に合わせた見せ方の工夫をしています。
最初に迷ったこと
お菓子を売っていてふと感じたのは、お客様は購入前に味がわからないということです。
どんなに丁寧に作っても、試食を実施しない限り、お客様は購入して食べるまで味を知ることができない。「おいしいかどうか」ではなく、「おいしそうかどうか」「信頼できそうなお店かどうか」で手に取ってもらえるかが決まる。
あたりまえのことなのですが、お客様を目の前にすることで、より実感しました。
だから、何をどう伝えるかが大切だと、出店を通じて感じるようになりました。
商品の良さを伝えるのはPOP・パッケージ・ディスプレイ・接客、そしてSNSの発信。商品そのものと同じくらい、伝え方に力を入れることが、マルシェで選ばれるための大切な要素だと思っています。
これは焼菓子に限らず、どんな商品でも共通することかもしれません。
まとめ:「何を売るか」より「誰に届けたいか」を考えると見えてくる

商品選びのチェックポイント
☑️ 作り続けられるか・ある程度の量産が可能か
☑️ 人に喜ばれた経験があるか
☑️ 持ち運び・持ち帰りやすいか
☑️ その商品を通してを伝えたいことがあるか
☑️ その商品の価格帯はマルシェに向いているか
まず1〜3種類に絞って出店してみる。反応を見ながら少しずつ調整していく。それだけで十分なスタートです。
「何を売るか」に正解はありません。でも「自分が続けられるもの」「届けたい人が喜んでくれるもの」という2つの軸から考えると、方向性は見えてきます。
▶ 商品が決まったら、次は価格設定。値付けの考え方はこちらの記事
▶ 食品・お菓子系で出店する場合に必要な許可についてはこちら
▶ 初期費用・道具の揃え方はこちらの記事でまとめています